症状 |
鉤虫症は、普通1歳以下の犬で発病し、寄生率と寄生数も高くなります。症状は、軽いものから、重いものまで、以下の3つにわけられます。
第一は、甚急性型で、母犬の胎盤または、乳から感染した赤ちゃん犬にみられる症状です。生後1週間ぐらいから下痢がはじまり、それが粘血便となり、乳を飲まなくなって急激に衰弱し、極度の貧血からショック状態となって死亡してしまうこともあります。
第二は、おもに思い感染をうけた幼い犬などにみられる症状で、急性型といいます。症状は、食欲がなく、やせてきます。便はタール状の粘血便となり、ひんけつのために眼の結膜や口の粘膜が白くなり、おなかが痛いので、背を丸めたような姿勢をとり、お腹をかばいます。
第三は、慢性型といい、もっとも多くみられる病型です。検便をすると鉤虫卵がみつかりますが、一見して病気の症状はみられません。しかし、多くの犬では、貧血および下痢気味で、毛づやがないなどの、慢性的な不健康状態となります。
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原因 |
糞便とともに外界に排出された虫卵は、ふ化して感染子虫となり、おもに土の中で生きています。
犬の感染は、経口感染と経皮感染によっておこります。経口感染の場合は、感染子虫が餌や食器について口から腸に入り、一時的に小腸の壁に侵入しますが、ふたたび腸管内にもどって成虫になります。普通は、このような感染経路で感染します。
これに対して経皮感染の場合は、感染子虫が皮膚や毛穴から犬の体内に入ったあと、犬の回虫と同じように、小腸に達し、そこで成虫になります。
また、血液やリンパ液に入った子虫が犬の全身を循環し、いろんな臓器で長期間生きていることがあります。もし、メスがこの状態で妊娠すると、この子虫が乳房から母乳と通して子犬へと感染したり(経乳感染)、あるいは子宮から胎盤と通して子犬に感染します(胎盤感染)。 |
診断方法 |
診断は、検便によっておこないます。具体的には、糞便中の虫卵を顕微鏡で検査するというかたちをとります。 |
治療方法 |
症状が軽いときは、駆虫薬を飲ませるか、皮下注射するだけで十分ですが、普通は犬が慢性的な不健康状態になるおので、腸炎に対する処置や栄養補給などをおこないます。
また、甚急性および急性鉤虫症で症状が重く、貧血がはげしく、ショック状態にあるものでは、輸血をおこなうなどの救急処置を必要とします。
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予防方法 |
犬の糞便は放置せず、すぐに始末しましょう。そして、こまめに清掃や消毒を行い、犬がいる場所を清潔にしておきましょう。天使の水を使った消毒も効果的です。
鉤虫の感染子虫は土の中で犬がくるのを待っています。ほかの犬の便などで汚染されているような場所はさけて散歩させてください。また、経乳感染あるいは胎盤感染を予防するには、メス犬が妊娠する前に正しい駆虫をおこなうことです。
動物病院で定期的に検便を受け、寄生虫の早期発見につとめましょう。
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